法律事務所羅針盤(千葉県市川市)所属の弁護士本田真郷です。
今回は、マンション管理組合の総会招集通知に記載する議題について、議題の意義、書き方、議案の要領との相違、招集通知に記載のない事項の決議の可否などを説明していきます。
1 総会招集通知には議題を記載する必要がある
マンション管理組合の総会招集通知には、「会議の目的」を記載する必要があります(区分所有法35条1項、標準管理規約43条1項)。
この「会議の目的」のことを議題といいます。
2 議題の書き方
議題とは、総会で議論すべきテーマのことです。
そのため、招集通知における議題の書き方については、総会で議論されるテーマが分かれば足り、具体的には以下のように記載します。
「第〇期管理組合役員選任に関する件」
「第〇期事業報告及び収支決算報告に関する件」
「第〇期事業計画及び収支予算案に関する件」
「管理規約改正に関する件」
「管理費等増額に関する件」
3 議案との違い
他方、総会で予定される決議内容の原案のことを「議案」といいます。
例えば、管理規約改正に関する件の議案は、通常、現在の管理規約及び変更後の管理規約の該当部分を示して作成しますし、役員選任に関する件の議案は、候補者の氏名等を示して作成されます。
区分所有法上は、招集通知に議案を記載することまでは、原則として求められていませんが、区分所有者等に対して、事前に十分な情報を提供することにより、総会で充実した議論ができるようにする観点から、多くの管理組合においては、実際には招集通知には議案の要領(決議案を要約したもの)まで記載されていることが通常です。
なお、以下の事項について決議を行う場合には、区分所有法上、招集通知に議案の要領まで記載することが求められます(区分所有法35条5項)。
・共用部分の変更(区分所有法17条1項)
・管理規約の設定、変更、廃止(区分所有法31条1項)
・大規模滅失の場合の共用部分の復旧(区分所有法61条5項)
・建替え(区分所有法62条1項)
・団地における規約設定(区分所有法68条1項)
・団地内の複数建物の建替えの一括承認(区分所有法69条7項)
4 招集通知に記載のない事項の決議の可否
総会では、総会招集通知に記載された事項についてのみ決議を行うことができるのが原則です(区分所有法37条1項、標準管理規約47条10項)。
そのため、総会招集通知に記載のない議題については、総会で決議を行うことができません。
他方、議案については、原則として必要記載事項ではないため、総会招集通知に記載のない議案の決議を行うことも可能です。
例えば、管理組合役員選任の場合、「管理組合役員選任に関する件」が議題に入っていない場合は総会で役員選任決議を行うことはできません。
他方、「〇〇号室 甲野太郎を役員候補者とする」という部分は議案となるため、実際の総会決議の際に、甲野太郎さんの代わりに、総会招集通知に記載のない乙野次郎さんを役員に選任することは可能です。
なお、法定の重要決議事項を除き、管理規約によって、総会招集通知に記載のない議題の決議を認めることは可能です(区分所有法37条2項)。
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