家賃滞納された!回収手順ややってはならないことを弁護士が解説

法律事務所羅針盤(千葉県市川市)所属の弁護士本田真郷です。

家賃を滞納されたら、すぐにでも賃料を回収するための対応を開始すべきです。
放っておくと未払い賃料が雪だるま式に膨らんでしまい、最終的には明け渡しの裁判や強制執行をしなければならない事態に陥ってしまいます。
そうなったら時間も労力も費用もかかり、大家さんには大きな損失が発生してしまうでしょう。
早期に家賃を回収すれば、損失を最小限度にとどめられます。

本稿では家賃を滞納されたときに大家さんがとるべき対応手順を解説します。賃貸物件を所有している方、不動産投資家やオーナーの方はぜひ参考にしてみてください。

家賃を滞納された時の対応の流れ

家賃を滞納されたら、以下の手順で対応を進めましょう。

STEP1滞納されたらすぐに督促する

STEP2連帯保証人や家賃保証会社へ請求する

STEP3内容証明郵便で督促する

STEP4現地を訪ねる

STEP5賃貸借契約を解除するか検討する

STEP6解除通知を送る

STEP7訴訟を起こす

STEP8明け渡しの強制執行を行う

STEP9差し押さえの強制執行を行う

STEP1滞納されたらすぐに督促する

家賃滞納が発生したら、すぐに借主へ督促することが重要です。時間が空くと、借主は「滞納しても請求が来ない」と安心して滞納が常態化してしまう傾向がみられます。郵便を送る、電話をかける、メールを送信するなどの方法で請求しましょう。

不動産管理会社へ管理を任せていても入金状況については毎月自分でしっかり確認し、1日でも遅れたら連絡を入れるべきです。

STEP2連帯保証人や家賃保証会社へ請求する

契約時に連帯保証人を入れている場合、連帯保証人へ請求しましょう。

連帯保証人は債務者と同等の責任を負うので、滞納家賃を全額払う義務を負います。

親族が連帯保証人になっている場合、連帯保証人が本人へ連絡を入れた結果、本人が支払いに応じるケースも少なくありません。本人にプレッシャーがかかり、その後の滞納を防ぐ効果も期待できます。

家賃保証サービスを利用している場合には、家賃保証会社へ連絡をしましょう。

家賃滞納が確認されれば家賃保証会社が支払いをするので、早期に滞納分の回収ができます。

STEP3内容証明郵便で督促する

連帯保証人や家賃保証会社からの回収もできない場合、内容証明郵便を使って借主に請求書を送りましょう。

内容証明郵便を利用すると強いプレッシャーを与える効果がありますし、大家の手元に控えが残るので「請求した証拠」も残せます。

【内容証明郵便に記載すべき事項】

  • 賃貸物件の表示
  • 滞納家賃の金額
  • 支払期限
  • 期限までに支払わない場合、訴訟等の法的措置をとる予定があること
  • 振込先の銀行口座

内容証明郵便には「配達証明」をつけるようお勧めします。配達証明をつけると、相手に送達された時期がわかるので、相手から「受け取っていない」と反論されるリスクが低くなります。

STEP4現地を訪ねる

内容証明郵便を送付しても無視される場合、現地を訪ねて直接督促するのも1つの方法です。大家が訪ねてきたらプレッシャーを感じて支払いに応じる人もいます。

留守の場合、置き手紙をおいて帰ってくるとよいでしょう。

STEP5賃貸借契約を解除するか検討する

家賃滞納が3か月以上続いたら、賃貸借契約を解除するかどうか真剣に検討すべきです。

法律上、家賃滞納期間がおおむね3か月程度になると、大家側からの契約解除が認められやすくなります。

また3か月も家賃を滞納する人は、今後も払う可能性が低いと考えられます。

契約を解除して物件から退去させ、別の良質な借主を入居させる方が物件の運営効率も上がるでしょう。

STEP6解除通知を送る

契約を解除する場合には、内容証明郵便で賃貸借契約の解除通知を発送しましょう。

【解除通知書に記載すべき事項】

  • 賃貸物件の表示
  • 滞納家賃の金額
  • 滞納家賃の支払いを請求すること
  • 支払期限
  • 振込先の銀行口座の表示
  • 支払いがない場合には賃貸借契約を無催告で解除すること
  • 明け渡しを請求すること
  • 任意に支払いや明け渡しが行われない場合、訴訟や強制執行の手続きをとること

弁護士が内容証明郵便の作成や発送を代行することもできます。

STEP7訴訟を起こす

解除通知を送っても借主が支払いや明け渡しに応じない場合には、訴訟を起こす必要があります。訴訟では、滞納家賃の支払いと明け渡し請求の両方を請求できます。

家賃滞納期間が3か月以上になっていたら、大家側からの解除が認められるケースが多数です。ただし借主側からも抗弁を出される可能性があるので、大家側としても適正に対処しなければなりません。

法的な主張や立証をしなければならないので、必ず弁護士に依頼するようおすすめします。

借主の家賃滞納を証明できて「信頼関係が破壊された」と認定されれば滞納家賃の支払いや明け渡しを命じる判決を出してもらえます。

STEP8明け渡しの強制執行を行う

判決が出たら、相手に任意で滞納家賃の支払いや明け渡しに応じるよう連絡してみましょう。

借主が判決を無視する場合には、強制執行を申し立てなければなりません。

物件から退去させるための強制執行は、明け渡し断行の強制執行です。

裁判所の執行官へ申し立てをして、現地調査や準備を行った上で強制的に物件から立ち退かせます。物件内の残置物、荷物なども処分できます。

STEP9差し押さえの強制執行を行う

明け渡しの強制執行をしても、滞納家賃や契約解除後の賃料相当損害金は回収できません未払いの金員については、財産の差し押さえによって回収しましょう。

以下のような財産や債権が差し押さえ対象になります。

  • 預金
  • 保険
  • 給料
  • 株式
  • 不動産
  • その他の動産

相手の勤務先が判明していれば、給料を差し押さえると効率的に債権回収できます。いったん給料を差し押さえると、未払い分が完済されるか相手が職場をやめるまで、勤務先から一定額の支払いを受けられます。

銀行口座がわかっているなら預金、積立型の保険に加入しているなら保険、取引している証券会社がわかるなら株式や投資信託なども差し押さえられます。

差し押さえの注意点

相手の財産や債権を差し押さえるには、債権者側が財産内容を特定しなければなりません。

たとえば給料を差し押さえるには相手の勤務先を特定する必要があり、預金を差し押さえるには金融機関名と支店名を明らかにする必要があります。

財産内容がわからない場合、裁判所で財産開示手続きを利用したり、第三者からの情報取得手続きを使って調査したりもできます。

差し押さえ対象を特定できずにお困りの場合、弁護士が調査のサポートを行いますのでご相談ください。

家賃を滞納されたとき、やってはいけないこと

家賃を滞納されたとき、以下のような対応をしてはなりません。

勝手に鍵を変える、荷物を運び出す

家賃を滞納されたとしても、法的な対応をとらずに借主を強制的に追い出すことはできません。自力救済は法律で禁止されているからです。

たとえ契約を解除しても、勝手に鍵を変えて家に出入りできないようにしたり、室内の荷物を運び出したりすると違法行為となってしまいます。

特に荷物については借主に所有権があるので、勝手に処分すると器物損壊罪や窃盗罪が成立する可能性もあります。

法的に正しい方法で相手を退去させるため、裁判を起こして強制執行しましょう。

暴力的、脅迫的な言動

借主が任意に家賃を払わず退去しないからといって、暴力的・脅迫的な行動をしてはなりません。暴行や脅迫によって無理やり家賃を払わせると、恐喝罪が成立してしまう可能性もあります。

脅しただけでも脅迫罪が成立しますし、暴力を振るうと暴行罪が成立し、相手をケガさせれば傷害罪が成立してしまいます。

督促状を送り、裁判を起こして強制執行をするという正しい手順で不払い家賃の回収と退去請求を進めましょう。

滞納している事実を周囲に触れ回る

家賃を滞納されたからといって、その事実を周囲に触れ回るのも控えるべきです。ネットなどで拡散するのもやめましょう。

家賃滞納の事実を不特定多数の人に知らせると、名誉毀損となってしまう可能性があります。

関係ない人に督促する

本人が家賃を払わないとしても、連帯保証人や保証人以外の無関係な人(親や子どもなど)へ督促してはなりません。

法律上、支払い義務のない人へ請求しても払ってもらえませんし、無理やり払わせると恐喝罪などの犯罪になってしまう可能性もあります。

借主が行方不明の場合の対処方法

家賃滞納が続く場合、借主が行方不明となっているケースもあります。

その場合でも、勝手に物件内の荷物を運び出したり処分したりしてはなりません。

裁判を起こして強制執行する必要があります。

相手が行方不明の場合「公示送達」という方法で裁判を進めて判決を出してもらえます。

公示送達とは、裁判所へ掲示することにより被告へ訴状を送達した扱いにできる制度です。

ご自身で対応方法がわからない場合、弁護士が公示送達を含めた裁判や強制執行の手続きを進めますので、お気軽にご相談ください。

家賃滞納トラブルは弁護士へ相談を

借主が家賃を滞納したら、早めに弁護士へ相談しましょう。依頼するメリットをお伝えします。

適切なアドバイスを受けられる

家賃滞納問題に対応するには、状況に応じた的確な判断が必要です。

相手の態度や滞納期間、金額などによってもとるべき措置が異なります。

弁護士に相談すれば、個別事案においてベストな対処方法についてアドバイスを受けられますし、内容証明郵便の作成・発送や相手との交渉などの対応も任せられます。

相手にプレッシャーをかけられる

大家ご自身が督促するより弁護士名で督促した方が、借主や連帯保証人に高いプレッシャーをかけられます。相手が支払いに応じやすくなると期待できます。

労力、時間を節約できる

ご自身で相手と交渉をしたり内容証明郵便を作成・発送したりすると、大変な労力がかかり時間もとられます。訴訟や強制執行の手続きを素人の方がお1人で進めるのは困難でしょう。

弁護士に依頼すればご自身ではほとんど何もしなくて良くなるので、労力や時間を節約できるメリットもあります。

違法行為を避けられる

自己判断で行動すると、知らず知らずの間に違法行為をしてしまう可能性があります。

弁護士に相談しながら対応すれば、余計なリスクを避けられます。

ストレスがかからない

家賃滞納トラブルに対応すると、多大な精神的負担がかかるものです。

弁護士に任せてしまえば気持ちも楽になり、精神的負担を軽減できるメリットもあります。

当事務所ではマンション管理士の資格を取得した弁護士が、専門的な見地から不動産トラブルに関するご相談や顧問業務をお受けしています。家賃滞納トラブルにお悩みの不動産オーナー様がおられましたら、お気軽にご相談ください。

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