相続トラブルが起こりやすい12のパターンと対策方法

法律事務所羅針盤(千葉県市川市)所属の弁護士本田真郷です。

相続が発生すると、相続人同士でトラブルになってしまうケースが非常によくあります。当事務所でもこれまで、千葉県内のたくさんのご家庭の方から相続トラブルについてのご相談をお受けしてきました。

遺産の額が多くなくてもトラブルは発生しますし、親の生前は仲の良かった兄弟が骨肉の争いを繰り広げてしまうケースも少なくありません。ごく一般的なご家庭であっても、相続争いは他人事ではないのです。

この記事では相続トラブルが特に発生しやすいパターンや対処方法をお伝えします。

1.遺産の中に不動産が含まれている

遺産の中に不動産が含まれていると、トラブルにつながりやすいので注意すべきです。

不動産の分け方はさまざまで評価方法も一律ではなく、相続人間で遺産分割方法についての意見が一致しにくい傾向があるためです。不動産が1つしかない場合、相続人間で取り合いになってしまうケースもよくあります。

投資用の物件が遺された場合でも、相続人間で共有にするのか売却して分けるのかなどが問題になりやすく、賃料を特定の相続人が独占してしまうトラブルも発生します。

不動産をめぐる相続トラブルを防止するには、被相続人の生前に遺言書を作成して、誰に不動産を相続させるべきか、代償金の計算方法も含めて指定しましょう。あるいは売却して現金を分けるよう指定する換価分割も指定できます。

2.相続財産が実家しかない

相続財産が実家しかないにもかかわらず相続人が複数いると、トラブルが生じるケースが多々あります。

親と同居していた長男などの相続人が家の取得を主張すると、他の子どもたちは納得せず代償金の支払いを求める可能性があります。長男が代償金の支払いを拒絶したり支払い能力がなかったりすると、遺産分割協議が成立しなくなってしまうのです。

最終的には遺産分割審判で家の競売命令が出てしまい、長男が家を失う結果にもなりかねません。

遺産がほぼ実家しかない場合にも、必ず遺言書を作成しておくべきです。

ただし同居の子どもなどの特定の相続人に不動産を遺すなら、遺留分侵害額請求にも備える必要があります。

3.被相続人が再婚している

被相続人が再婚していて、前婚の際の子どもと死亡時の家族がいる場合にも相続トラブルが発生しやすいので要注意です。

前婚の際の子どもには、死亡時の家族の子どもと同等の法定相続分が認められます。

死亡時の家族からすると、生前にほとんど交流のなかった前婚の子どもには遺産を渡したくないと考えるでしょう。一方、前婚の子どもとしては「当然遺産を受け取れる権利がある」と考えるので、お互いの考えが合わずにトラブルになってしまいます。

再婚していて前婚の際の子どもがいる方は、相続トラブルを防ぐために必ず遺言書を作成しておきましょう。ただし前婚の際の子どもにも遺留分が認められるので、できるだけ侵害しないよう配慮しなければなりません。

4.内縁の配偶者がいる

配偶者と籍を入れず内縁状態にしている方も、相続トラブルに注意が必要です。

そもそも内縁の配偶者には遺産相続権がありません。

以前の配偶者との間に子どもがいたら、その子どもがすべての遺産を相続します。

すると子どもが内縁の配偶者に対し、家からの退去や預貯金の引き渡しなどを求めて内縁の配偶者の生活が脅かされる可能性があります。

子どもなどの相続人がいない場合でも、内縁の配偶者が遺産を受け取るには「相続財産管理人」を選任して特別縁故者への財産分与を申し立てるなど、大変面倒な手続きをとらねばなりません。

内縁の配偶者がいるなら必ず相手に遺産を遺贈するために遺言書を作成しておくべきです。

5.認知した子どもがいる

配偶者以外の人との間に子どもがいて認知している方、あるいは遺言で認知する予定の方も相続トラブルに注意が必要です。

認知された子どもにも、婚姻時に生まれた子どもと同じだけの相続分が認められます。

しかし死亡時の家族からすると、突然あらわれた婚外子に遺産を渡すことに納得できず、遺産分割協議が紛糾してしまうのです。認知しなくても、婚外子の方から死後認知を請求してくる可能性があります。

婚外子がいるなら必ず遺言書を作成して遺産相続方法を指定しておきましょう。

6.不公平な遺言書が遺された

遺言書を作成しても、内容が不公平であれば相続トラブルの種になってしまう可能性があります。兄弟姉妹以外の法定相続人には、最低限の遺産取得割合である遺留分が認められるからです。

遺言書で遺留分を侵害してしまったら、遺留分権利者は侵害者に対して遺留分侵害額請求という金銭請求を行うことができます。話し合いで解決できず、調停や訴訟になってしまうケースも少なくありません。

遺言書を作成するときには、遺留分を侵害しないように配慮すべきです。

どうしても遺留分を侵害せざるを得ない場合、遺産を多めに相続させる相続人や受遺者に生命保険金を受け取らせるなどして、遺留分侵害額請求に備えましょう。

7.遺言が無効になってしまう

遺言書を作成しても、無効になってしまうケースがあります。

たとえば自筆証書遺言を作成するとき、一部にパソコンを使ってしまったり加除訂正方法を誤ったりするパターンが典型です。法務局に預ける遺言保管制度を利用しても、内容のチェックまではしてもらえません。

きちんと要式を満たしていても、内容が不利益となっている相続人が納得せず「偽造だ」と主張して争いになるケースがあります。

公正証書遺言であっても、必ずしも有効とは限りません。遺言者の認知症が進行してから作成すると無効になる可能性があるので注意が必要です。

遺言書を無効にしないためには、まずは公正証書遺言を利用すべきです。公正証書遺言であれば、少なくとも要式違反で無効になる可能性はありません。

また認知症が進行してから作成すると無効にある可能性が高いので、判断能力が十分にあるうちに、早めに遺言書を作成しましょう。

8.被相続人を介護した相続人がいる

被相続人の生前に献身的に介護した相続人が「寄与分」を主張したところ、他の相続人が寄与分を否定して相続トラブルにつながるパターンがあります。

遺産を遺す側としては、特定の相続人やその配偶者などに介護してもらった場合、寄与分を考慮して多めに遺産を相続させたいと考えるでしょう。ただ介護が必要になってからでは遺言書を作成できなくなる可能性もあるので、元気なうちに早めに遺言書を作成しておくべきです。その上で、変更したいときには変更部分だけを別の遺言書で指定すれば、変更内容を有効とすることができます。

9.生前贈与が行われた

特定の相続人へ高額な財産を生前贈与すると、「特別受益」が問題となって相続トラブルにつながるケースが多々あります。

特別受益がある場合、生前贈与を受けた相続人の遺産取得割合を減らす「特別受益の持戻計算」を行うべき、と主張されるのです。

特別受益に関するトラブルは「特別受益の持戻免除」を行っておくと防止できます。

特別受益の持戻を免除しておけば、他の相続人は特別受益の持戻を要求できません。

遺言書でも免除の意思表示ができます。

10.遺産が使い込まれた

特定の相続人によって遺産が使い込まれるトラブルも頻繁に発生します。

よくあるのが、被相続人と同居していた相続人が預金を使い込むパターンです。

使い込まれた時期が死後であれば遺産分割協議で使い込み問題を一緒に解決できますが、生前に使い込まれた場合には不当利得返還請求や不法行為にもとづく損害賠償請求などの別手続きを踏まねばなりません。訴訟になって大きなトラブルにつながる事例もあります。

遺産の使い込みを防止するには、生前にしっかり財産管理の体制を整えるべきです。

家族信託や後見制度を利用しましょう。

11.相続人同士が疎遠、仲が悪い

もともと相続人同士が疎遠だったり仲が悪かったりすると、相続トラブルが起こりやすくなります。

たとえば子どもが親より先に死亡して孫による代襲相続が発生する場合、共同相続人は叔父叔母と甥姪の関係になります。被相続人の生前に交流が薄ければ、遺産分割協議も進めにくくなるでしょう。

トラブルを防止するため、誰にどの遺産を相続させるのか、遺言書で指定しておくべきです。

12.子どもがいない夫婦

子どもがいない夫婦の場合、一方が死亡すると配偶者と親や兄弟姉妹が共同相続人になります。この場合にもお互いに意見が合わず、トラブルが起こりがちです。

遺産相続に備えるため、遺言書を作成しておきましょう。

当事務所には、数々の相続トラブルのご相談をお受けして解決に導いてきた実績があります。千葉県で相続対策が気になっている方がおられましたらお気軽にご相談ください。

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