マンション管理費の滞納が発生した場合、管理組合はどう対処する?

マンション管理費滞納

法律事務所羅針盤(千葉県市川市)所属の弁護士本田真郷です。

当事務所には、マンション管理に関するトラブル相談が多く寄せられます。

その中でも代表的なものが、住民(区分所有者)の管理費の滞納問題です。

マンションの廊下や玄関、ゴミ捨て場など共用部分の維持管理は、住民(区分所有者)が全員が支払う管理費によって成り立っています。

そのため、管理費の滞納が発生した場合、住民間(区分所有者間)の公平の観点から、早めに対処する必要があります。

マンションの管理は、区分所有者全員で構成される「管理組合」の対応事項です。

したがって、滞納管理費の取り立てについても、管理組合による意思決定が必要になります。

この記事では、マンション管理費の滞納が発生した場合に、どんな取り立て方法があるのか?ということや、管理組合は何をすればよいのか?ということについて解説していきます。

千葉県市川市の相続に強い弁護士 本田真郷

【この記事を書いた弁護士】
弁護士 本田真郷(ほんだまさと)
「お客様の根本問題を解決する」がモットー。15年以上弁護士として活躍する中で多くのマンション管理トラブルの解決に携わる。お客様の不安解決のためにマンション管理相談会を事務所にて開催中。

1. 滞納された管理費を取り立てる4つの方法

マンション管理費の滞納や支払い拒否が発生した場合、まずは口頭で支払いを促すことから始めます。

しかし、相手がどうしても応じない場合は法的措置による取り立てを検討する必要がでてきます。

まずは、滞納管理費を取り立てるための方法として考えられる4つの方法について、簡単に説明していきます。

1-1. まずは口頭・簡易的な書面での催告

滞納が始まってからまだ期間が浅い場合、まずは管理組合や管理会社から注意喚起を行えば支払いが再開される可能性も十分にあります。

この段階では、問題を大ごとにせず穏便に解決するのが一番です。

口頭または簡易的な書面などによる支払い催告を行うのがよいでしょう。

この場合の催告とは、滞納金額の支払いを促すことをいいます。

1-2. 聞いてもらえない場合は内容証明郵便による催告

管理費の滞納が数か月以上にわたっている場合、管理組合側としても、本腰を入れて取り立てるという姿勢を滞納者に対して示す必要があります。

この場合、内容証明郵便の形で、正式な催告状を送付する方法が有効です。

内容証明郵便は、郵便局による内容証明が行われるため証拠力が高く、さらに法的手続きの前段階として広く認知されています。

そのため、内容証明郵便を送付することにより、滞納者に事態の深刻さを認識させることが可能となります。

内容証明郵便は形式さえ守れば自分で出すこともできますが、お付き合いのある弁護士にお願いする方が実際は多いです。

1-3. 訴訟の前に、裁判所による支払督促

管理費の滞納者が内容証明郵便による支払い催告に応じない場合、いよいよ法的措置を検討せざるを得ません。

しかし、滞納状況によっては、訴訟に移行してしまうと、手続きの手間や費用が大きくなってしまうことがあります。

このような場合、まずは簡易的な法的措置である「支払督促」を利用することも有用です。

(参考:「支払督促」裁判所HP

支払督促とは、債務者に対して、裁判所から支払い命令を行う制度をいいます。

支払督促の審査は書類上のみで行われるため、訴訟とは異なり、審理のために裁判所へ行く必要はありません。

また、訴訟手続に比べて手続費用が割安なので、費用が抑えられるメリットもあります。

管理費の滞納者が支払督促を受け取ってから2週間以内に異議申立てをしない場合は、管理組合がさらに裁判所に申立てることで、仮執行宣言が付されます。

ここまできても滞納者が支払いに応じず、督促を無視するような場合は、滞納者の財産に対して強制執行(差し押さえ)をすることが可能です。

もし、滞納者が督促異議を申し立てた場合は、下記に説明する訴訟を行うことになります。

1-4. 最後の手段。訴訟

支払督促に対して異議申立てがされた場合は、訴訟手続へ移行することになります。

訴訟提起の際は、原則として管理組合が原告となって提起することが可能です。

弁護士は必須ではありませんが、訴訟で適切な主張をするためには、法律構成と証拠の準備が不可欠です。

弁護士に相談して慎重に対応することをお勧めいたします。

判決で管理組合側の請求が認められ、その判決が確定した場合、滞納者の財産に対して強制執行(差し押さえ)をすることができます。

2. 滞納管理費 取り立ての流れ。管理組合がとるべき手続き

マンション管理滞納トラブル

ここまでは、取り立ての手段を解説しました。

次は、実際に滞納管理費の取り立てを行うにあたって、管理組合がとるべき手続の流れについて解説します。

2-1. まずは理事会で対応方針・予算などを話し合う

まず一般的には、区分所有者の代表によって構成される「理事会」での話し合いを行います。

滞納管理費の取り立ては、マンションの共有部分の管理に関する事項に該当するため、対応方針・予算などは管理組合総会(集会)での決定事項とされています。(区分所有法※18条1項)。※正式名称:建物の区分所有等に関する法律

この管理組合総会に提出する議案をまとめるために、「理事会」での話し合いを行います。

理事会では、前述したような滞納管理費の取り立ての方法の特徴を踏まえた上で、どのように取り立てを行っていくかの具体的な計画を立て、管理組合総会に提出する議案の体裁を整えます。

(ただし、滞納管理費等について、規約に理事会の決議により訴訟提起を行うことができる旨の規定がある場合は、総会決議は省略可能です)

2-2. 次に管理組合総会で対応方針・予算などを決議する

理事会で提出議案がまとまったら、次は管理組合総会での決議を行います。

管理組合総会の開催についての連絡(招集)は、法律上、会日より少なくとも1週間前に、管理者が各区分所有者に通知を発送して行います(区分所有法34条1項、35条1項)。

なお多くの管理組合では、管理規約において、会日より2週間前に通知の発送をする旨を定めています(標準管理規約43条1項参照)。

滞納管理費の取り立てをどのように行っていくか?ということについては、最終的に区分所有者および議決権の各過半数が賛成することで決められます。過半数というのは区分所有法で原則として定められています(区分所有法39条1項)。

ただし、マンション内の区分所収者の過半数を賛成を集めるのは実務上難しい場合も多いので、管理規約によって別段の定めを設けることも認められています。

管理規約上は、総会に出席した区分所有者の議決権の過半数により、決議を行うことができるケースが多くなっています(標準管理規約47条2項参照)。

2-3.法的手続きの場合は、弁護士に依頼して取り立ての手続きを進める

滞納管理費の取り立て方針・予算などについての決議が成立したら、実際の取り立てを行っていきます。

まずは、口頭や簡易的な書面による支払い催告の段階であれば、理事会のメンバーが取り立てを行うことでも特に問題ないです。

しかし、支払督促や訴訟といった法的手続を見据える段階では、弁護士に相談して対応することが望ましいといえます。

支払督促や訴訟による取り立てを行う場合、証拠資料の準備や書面の作成などに膨大な手間がとられるうえ、法的な観点からの綿密な検討が必要です。

そのため、法的手続に移行する可能性がある程度見込まれるのであれば、管理組合総会での決議の段階で、弁護士費用を含めた予算を計上しておくのが良いでしょう。

3. 5年経てばチャラ!? 滞納管理費の消滅時効に注意

マンションの管理費に関する債権の消滅時効期間は、支払期限の到来から5年です(民法166条1項1号)。

(2020年4月1日改正法施行以前の旧民法では、管理費は定期給付債権として取り扱われていました。しかし旧民法の下でも、結論として消滅時効期間が「支払期限の到来から5年」であることに変わりはありません。)

したがって、管理費の滞納が始まってから5年以上が経過すると、支払期限が前のものから順に、管理費の請求権が時効消滅してしまいます。

滞納管理費を実際に取り立てるには、管理組合としての意思決定プロセスも含めて、ある程度の時間がかかります。

もしあまりにも長く滞納状態を見過ごしてきた場合、速やかに弁護士に相談して、滞納者に対してしかるべき対応を取りましょう。 

マンション住民による管理費滞納にお悩みの管理会社や他の区分所有者の方は、弁護士への早めの相談をおすすめします。

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