マンション法 コロナに留意しながら総会を開催する場合の工夫

法律事務所羅針盤(千葉県市川市)所属の弁護士本田真郷です。

前回に引き続き、マンション管理組合の総会の開催について、新型コロナウイルスの感染症流行の影響を受けた対応について解説します。

今回は総会を開催する場合に考えられる工夫について、まとめました。

Q 感染症対策に留意しながら総会を開催したいのですが、どのような工夫が考えられますか?

A 書面による決議の利用、書面または代理人による議決権行使の活用などの工夫が考えられます。

1 書面による決議

区分所有者全員の承諾があるときは、総会を開催せず、書面(または電磁的方法)による決議を行うことが可能となります(区分所有法45条、標準管理規約50条)。

全員の合意が必要であるという点でハードルが高い方法ではありますが、区分所有者数が少ない場合などは実施を検討してみる価値があります。

なお、書面による決議を実施する場合、①「書面による決議を行うことについて」、区分所有者全員の承諾を求め、この承諾を得た上で、具体的な議案の賛否を問う方法(議案についての全員承諾は不要)と②「具体的な議案について」、区分所有者全員の承諾を求め、この承諾を得ることによって書面による決議が成立したと取り扱う方法(議案についての全員承諾が必要)の2つの方法があります(区分所有法45条2項)。

2 書面または代理人による議決権行使

区分所有者は、書面または代理人によって、議決権を行使することができます(区分所有法39条2項、標準管理規約46条4項)。

議決権行使書または委任状を提出した区分所有者は、議事との関係では出席者とみなされるため(標準管理規約47条6項)、これらの区分所有者を含めて、議決権総数の半数以上を有する区分所有者が出席すれば、総会が成立します(標準管理規約47条1項)。

そのため、総会招集の際に、区分所有者に対し、総会への出欠の慎重な検討を求め、欠席の場合は議決権行使書または委任状を提出してもらうことにより、実際の総会出席人数を絞り込むことが考えられます。

ただし、総会出席は、区分所有者の権利という一面もあるため、議決権行使書または委任状の提出を強制することはできません。一定の出席者があることを想定して運営準備を進めることが必要です。   

なお、実際に総会に出席することが必要な最小人数は1人(議長)です。区分所有法等では、議長及び区分所有者2名が議事録に署名押印することが必要とされていますが(区分所有法42条3項、標準管理規約49条2項)、実際の出席者が1人の場合には、その者のみが署名押印すれば足りるものと解されています(稻本洋之助・鎌野邦樹著『コンメンタールマンション区分所有法(第3版)』240頁(日本評論社、2015年))。

(本記事は令和2年4月13日付けでリニューアル前の当事務所HPに公開した記事と同一内容です)

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