マンション法 コロナの影響で総会の延期は問題ない?

法律事務所羅針盤(千葉県市川市)所属の弁護士本田真郷です。

新型コロナウィルス感染症流行の影響を受けて、マンション管理組合の総会の開催についての問い合わせを多くいただいております。

今回は、このような特殊な状況でも総会の開催が必要なのか?延期はどれぐらいまで認められるのか?について解説していきます。

Q マンション管理組合の理事長に就任していますが、私のマンションでは、毎年5月に通常総会を開催することになっています。

5月に通常総会を開催する必要があるでしょうか。

A 区分所有法、管理規約上は開催が望ましいものの、組合員の安全確保等の要請の観点から、延期がやむを得ない場合もあると考えられます。

1 総会開催の時期

マンション管理組合では、毎年1回総会(集会)を開催しなければなりません(区分所有法33条2項)。

総会の開催時期について、標準管理規約では、「毎年1回新会計年度開始後2か月以内に」通常総会を招集することとされています(標準管理規約42条3項)。

マンション管理組合の会計年度は、毎年4月から翌年3月とされていることが多く、そのため通常総会開始時期を5月とする管理組合が多いことが想定されます。

2 総会開催の必要性(区分所有法、標準管理規約等の規定)

(1)収支予算案承認の必要性

総会では管理規約や使用細則の制改定、長期修繕計画の作成変更、役員の選任解任など様々なことを決定しますが、毎年1回必ず行わなければならないことは収支予算案の承認です(標準管理規約48条2号、58条1項)。

その他の議案については、その必要性に応じて後回しとすることも可能ですが、収支予算案の総会承認を得なければ、原則として通常の経費支出も行うことができなくなってしまいます。

そのため、通常総会は、やはり会計年度開始後、速やかに開催すべきものと言えます。

(2)例外~経常的な支出など~

総会開催まで通常の経費支出が一切できなくなるかと言えば、そういうわけではありません。

標準管理規約では、

①通常の経費のうち、経常的であり、かつ、収支予算案の総会承認を得る前に支出することがやむを得ないと認められるもの

②総会の承認を既に得て実施している長期工事に係る経費であって、収支予算案の会承認を得る前に支出することがやむを得ないと認められるものの2点について、理事長が理事会の承認を得て支出を行うことができると定めています(標準管理規約58条3項)。実際にどのような支出が可能となるかは管理規約の内容にもよるため、ご加入の管理組合の管理規約を確認してみてください。

ただし、このように臨時に行った支出についても、総会を開催した時点で総会の承認を得る必要がありますので、留意ください(標準管理規約58条4項参照)。

なお、災害等のため総会の開催が困難である場合の応急修繕工事の費用(標準管理規約58条5項、54条1項10号)、災害等の緊急時おける敷地・共用部分等の保存行為に必要な支出(標準管理規約58条6項、21条6項)などは例外措置が可能な場合がありますので、管理規約の定めを確認してください。

3 新型コロナウイルス感染症の影響について

区分所有法、標準管理規約上の取り扱いは上記1、2記載のとおりですが、今回の新型コロナウイルス感染症の流行に際し、法務省は、「前年の集会の開催から1年以内に区分所有法上の集会の開催をすることができない状況が生じた場合には、その状況が解消された後、本年中に集会を招集し、集会において必要な報告をすれば足りるものと考えられます」との見解を示しています。

法務省HP http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00024.html

この見解からすると、昨年5月に通常総会を開催していた場合、今年中(令和2年12月まで)に総会を開催すれば、少なくとも区分所有法違反の状態は生じないものと考えられます。

管理規約の規定との整合性の問題は残りますが、緊急時の組合員の安全確保等の要請の観点から、管理規約の定めに関わらず、総会の延期等がやむを得ない場合も生ずるものと考えられます。この場合、理事会で総会延期及びその間の管理組合業務の執行方針を決議の上、当該決議内容の組合員への周知を図るなど、手続面での対処を十分に実施することにより、管理規約上との整合性の補完を図ることが考えられます。

4 総会を開催する場合の工夫

総会を開催する場合の工夫を参照ください。

(本記事は令和2年4月13日付けでリニューアル前の当事務所HPに公開した記事と同一内容です)

関連記事

  1. マンション法 コロナに留意しながら総会を開催する場合の工夫

PAGE TOP