マンション管理組合の理事会運営 理事会の役割、開催方法、会議の流れなど

法律事務所羅針盤(千葉県市川市)所属の弁護士本田真郷です。
今回は、マンション管理組合の理事会運営について、理事会の役割、開催方法、会議の流れなどを説明していきます。

目次

1 理事会とは?

理事会の意義

理事会は、マンション管理組合総会の決議等に基づき、マンション管理を具体的にどのように進めていくかを決定する機関です。

理事会の機能

理事会の機能(職務)は以下の3点とされています(標準管理規約51条2項)。
①管理組合の業務執行の決定
②理事の職務執行の監督
③理事長、副理事長、会計担当理事の選任

理事会の構成員

理事会の構成員は理事です。
理事の員数は管理規約で定められています(標準管理規約35条1項)。

理事の員数については、3名~20名程度が望ましく、概ね10~15戸につき1名選出するのが標準とされています(標準管理規約35条関係コメント②)。

理事会の開催頻度

理事会の開催頻度は特に決まりがありません。
各管理組合の実情に応じて調整することとなりますが、理事会は管理組合の業務執行の決定機関である以上、1か月に1回程度のペースで定期的に開催することが望ましいとされています。

理事会の開催場所

理事会の開催場所についても特に決まりはありません。
マンションに集会室等の施設がある場合はその施設を使用することが多いと思われますが、議題や構成員の都合に応じて、公民館、貸会議室、外部飲食店等を適宜選択して開催している管理組合もあります。

2 理事会の開催方法

(1)誰が招集するか

理事長が招集

マンション管理組合の理事会は、理事長が招集します(標準管理規約52条1項)。

理事が招集できる場合

一定割合の理事の同意がある場合、理事は、理事長に対して、理事会の招集を求めることができます(標準管理規約52条2項)。
この請求があった日から一定期間内に理事長が理事会の招集通知を発しない場合には、請求を行った理事が理事会の招集を行うことができます(標準管理規約52条3項)。

監事が招集できる場合

監事は、理事の不正行為等があった場合、理事会に対する報告義務があるため、必要に応じて、理事長に対し、理事会を招集するよう求めることができます(標準管理規約41条6項)。
この請求があったにもかかわらず、理事長が5日以内に理事会の招集手続を行わない場合は、監事が理事会を招集することができます(標準管理規約41条7項)。

(2)理事会招集の手続

理事と監事へ通知

理事会の招集通知の名宛には理事及び監事です(標準管理規約52条4項、43条1項)。

通知内容

通知が必要となる内容は、総会招集通知の場合と同様、会議の日時、場所、目的です(標準管理規約52条4項、43条1項)。

招集手続を行うタイミング

理事会の収集通知は、理事会の2週間前までに発送することが必要です(標準管理規約52条4項、43条1項)。
ただし、緊急を要する場合には、理事及び監事の全員の同意を得て、5日前までこの期間を短縮することができます(標準管理規約52条4項、43条9項)。

3 当日の理事会運営

(1)定足数

理事の過半数の出席が必要

理事会の会議は、理事の半数以上が出席しなければ開くことができません。
なお、監事にも理事会出席義務がありますが(標準管理規約41条4項)、監事の出席は理事会の開催要件ではなく、監事欠席の理事会で行われた決議も有効となります。

代理人による出席は可能?

標準管理規約には、理事会に代理人の出席させることを認める規定はなく、基本的には代理出席は不可とされています。
これは、理事は、総会で選任され、区分所有者(組合員)のために、誠実に職務を遂行するものとされているため、理事会には理事本人が出席して議論に参加し、議決権を行使すべきであると考えられているためです(標準管理規約53条関係コメント①)。

もっとも、代理出席の可否については、マンションや区分所有者ごとの実情に応じて検討すべき場合もあり、最高裁判例上も「理事に事故があり、理事会に出席できないときは、その配偶者又は一親等の親族に限り、これを代理出席させることができる。」とする管理規約の定めは有効とされています(最高裁平成2年11月26日判決)。
ただし、管理規約上、やむを得ない場合の代理出席を認める場合であっても、例外措置であることから、あらかじめ総会において、それぞれの理事ごとに理事の職務を代理するにふさわしい資質・能力を有するか否かを審議の上、その職務を代理する者を定めておくことが望ましいとされています(標準管理規約53条関係コメント③)

書面による決議

区分所有者が理事長に対し、専有部分の修繕や窓ガラス等の改良等の申請を行った場合、理事長は理事会の決議により、その承認または不承認を決定する必要があります(標準管理規約17条3項、21条4項、22条3項)。
この理事会決議については、申請数が多いことが想定され、また迅速な審査が必要となることから、理事の過半数の承諾により、書面決議(または電磁的方法による決議)によって行うことができます(標準管理規約53条2項)。

(2)議長、議事録署名人の選任

理事会の議長は理事長が務めます(標準管理規約51条3項)。
議長は審議に入る前に出席理事の中から議事録署名人2名を指名します(標準管理規約53条4項、49条2項)。

(3)議事手続の流れ

理事会の議事手続は、通常、①報告→②議案に関する説明、質疑、討議→③採決の流れで進みます。
この点は総会の議事手続の流れと同様です。

①報告

業務担当理事または管理会社担当者から、管理業務に関する報告が行われます。

②議案に関する説明、質疑、討議

各議案について、提出の趣旨説明が行われ、これを踏まえて質疑、討議が行われます。
ここで充実した質疑等が行われ、理事会を効率的に運営できるよう、理事会に先立って、各理事に議案に関する詳細な資料を提供しておくことが望まれます。

③採決

理事会の議事は出席理事の過半数が賛成した場合に可決されます(標準管理規約53条1項)。
決議の方法は特に決まっておらず、挙手、拍手、書面投票など実情に応じて適宜選択します。
なお、決議について特別の利害関係を有する理事は議決に参加することができません(標準管理規約53条3項)。

(4)議事録作成

理事会の議事について、議長(理事長)は、議事の経過の要領及びその結果を記載した議事録を作成しなければなりません(標準管理規約53条4項、49条1項)。
議事録には議長及び議事録署名人2名が署名押印すること(標準管理規約53条4項、49条2項)、完成した議事録は理事長が保管し、区分所有者等から書面による閲覧請求があった場合は閲覧させなければならないこと(標準管理規約53条4項、49条3項)は総会議事録の場合と同様です。
ただし、理事会議事録は、総会議事録のように議事録保管場所を掲示する必要はありません(標準管理規約53条4項)。

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