マンション管理費の時効期間は?

法律事務所羅針盤(千葉県市川市)所属の弁護士本田真郷です。
今回は、マンション管理費等の時効期間について説明していきます。

1 マンション管理費は時効により消滅する

民法上、債権(金銭請求権など)を一定期間行使しなかった場合は、消滅時効により権利が消滅するものとされています(民法166条)。

マンション管理費等も債権ですから、管理費等の滞納状態を長期間放置してしまうと、消滅時効が完成し、管理費等を回収することができなくなってしまいます。

2 マンション管理費の時効期間

(1)マンション管理費の時効期間は原則5年

マンション管理費等の時効期間は原則として5年です(民法166条1項1号)。

※令和2年の民法改正前は、一般債権の時効期間は10年でしたが、マンション管理費等は定期給付債権に該当すると考えられており、5年の短期消滅時効が適用されるとされていました(改正前民法169条)。
民法改正により、定期給付債権に関する短期消滅時効の規定は削除されましたが、一般債権の時効期間が「債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間」とされたため(マンション管理費等は通常これに該当します)、民法改正の前後を通じて、マンション管理費等の時効期間は5年のまま変更がないことになります。

(2)例外:マンション管理費等の時効期間が10年となる場合

マンション管理費等について、滞納者に対する訴訟等の裁判手続を行い、裁判所の判決(訴訟上の和解など判決と同一の効力を有するものを含む)を取得した場合は、時効期間は判決が確定したときから10年となります(民法169条1項)。

3 マンション管理費の時効消滅を避ける方法

(1)裁判手続による時効の完成猶予・更新

時効完成前に、訴訟等の裁判手続を行った場合、その手続が終了するまでの間、時効は完成せず(これを「時効の完成猶予」といいます)、裁判所の判決等を取得した場合は、時効期間はリセットされます(民法147条1項等)。このリセットのことを「時効の更新」(令和2年民法改正前は「時効の中断」)といいます。

例えば、滞納期間が4年11か月のところで訴訟を提起した場合、訴訟手続中に5年を経過しても時効は完成猶予により完成せず、その後、勝訴判決を取得すれば、時効の更新により、従来の4年11か月まで進んでいた時効期間はリセットされ、判決が確定したときから、新たな時効期間がスタートすることになります(この場合の時効期間は2(2)のとおり10年です)。

(2)催告による時効の完成猶予

裁判手続を行えば時効の完成猶予及び更新により時効の完成を避けることができますが、裁判手続の準備には一定期間を要する場合があり、時効完成直前で慌てて裁判手続の準備を始めても時効期間満了に間に合わない可能性もあります。
このような場合、滞納者に対して、催告を行うことにより、6か月間時効の完成を先延ばしにすることができます。これを催告による時効の完成猶予といいます(民法150条1項)。

催告の方法に制限はありませんが、催告を行ったことを確実に証拠化するため、配達証明付きの内容証明郵便により行うことをお勧めします。

なお、催告で時効完成の先延ばしができるのは1回限りです(民法150条2項)。先延ばしした期間の満了間際に再度催告を行っても時効の完成猶予の効力は生じないため注意しましょう。

(3)承認による時効の更新

マンション管理費等の滞納者が、滞納管理費等の承認を行った場合は、時効の更新により、時効期間はリセットされます(民法152条1項)。

マンション管理費の場合、その滞納者自身から、支払い義務を負っているマンション管理費等を滞納している旨の自認行為があれば承認と言えます。

承認の形式に制限はありませんが、口頭での承認は言った言わないの問題が残るため、管理組合等において、滞納金額を記載した債務承認書を用意し、滞納者に日付、氏名等を自署してもらうことにより、承認を確認することが望ましいものと思われます。

(4)協議を行う旨の合意による時効の完成猶予

令和2年民法改正により、権利について協議を行う旨の合意が書面でされた場合には、一定期間時効の完成が猶予されることとなりました(民法151条)。

例えば、滞納者と滞納管理の金額等に関する主張が食い違っており、時効期間満了までに協議が終了しない場合、協議を行う旨の合意を書面で行えば、裁判手続や承認がなくとも、一定期間時効の完成が猶予されるというものです。

4 修繕積立金等の時効期間は?

管理費以外の修繕積立金等についても時効期間は原則5年です。

なお、毎月徴収ではない、修繕積立一時金や特別負担金などについては、令和2年民法改正前は時効期間10年とされていましたが、民法改正後はこれらの一時金についても時効期間は原則5年となります。

5 時効期間経過後の管理費収納

時効期間が経過した場合、マンション管理組合が当該滞納管理費等を回収することは通常困難です。

ただし、時効の効力は、時効期間の経過によって当然に生ずるものではなく、当事者(マンション管理費等の場合は滞納者)が時効の援用を行うことによって初めて生じます(民法145条)。

そのため、時効期間が経過した部分の滞納管理費等であっても、滞納者が自発的に支払う場合は、管理組合は納付を受けて問題ありません。

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