「うちのマンションも管理計画の認定を取ったほうがいいのだろうか」
管理組合の理事会でそんな話が出た方も多いのではないでしょうか。
実はこの制度、お住まいの市によって、申請できるかどうかも、手続きの進め方も違います。
同じ千葉県内でも、隣の市とやり方が違うということが起こります。
この記事では、制度のしくみを簡単に整理したうえで、千葉県内の市ごとの違いと、申請前に法律面で押さえておきたい点をまとめます。
マンション管理計画認定制度とは
ひとことでいうと、「このマンションはきちんと管理されています」と自治体がお墨付きを与える制度です。
2022年(令和4年)4月にはじまりました。
管理組合が「うちはこういう管理をしています」という計画を自治体に出し、国が決めた基準を満たしていれば認定される、という流れです。認定の有効期間は5年間で、その後は更新の手続きが必要になります。
基準になるのは、たとえば次のような点です。
- 管理組合の理事長(管理者)が決まっていて、総会が毎年きちんと開かれているか
- 管理規約が適切に定められているか
- 管理費と修繕積立金の会計が分けて処理され、滞納にきちんと対応しているか
- 長期修繕計画が30年以上の期間でつくられ、その間に大規模修繕が2回以上入っているか
- 修繕積立金の額が、極端に安すぎないか
「難しそう」と感じるかもしれませんが、裏を返せばふだんから真面目に管理してきたマンションであれば、届く可能性が十分にある内容です。
なぜ「市によって違う」ことが起きるのか
ここが今回いちばんお伝えしたいところです。
この制度は、全国どこでも自動的に使えるわけではありません。その市が「マンション管理適正化推進計画」という自治体の計画をつくっていることが前提になります。この計画をつくっていない市では、そもそも認定の申請ができません。
そして申請先は、次のように分かれます。
- 市にお住まいの場合 → その市の役所が窓口(ただし、その市が上記の計画をつくっていることが前提)
- 町・村にお住まいの場合 → 千葉県(県庁の住宅課)が窓口
千葉県も、県が認定事務を行うのは町村の区域であり、市の区域にあるマンションについては各市が認定を行うため、詳しくは市役所の担当窓口に問い合わせるよう案内しています。
つまり、同じ千葉県内でも「船橋市のマンションは船橋市へ」「町にあるマンションは千葉県へ」となり、そもそも申請先が違うわけです。
千葉県内の主な市の状況(2026年7月時点)
各市の公表情報から確認できた範囲でまとめます。制度の運用状況は変わることがあるため、実際に申請される際は必ず最新の情報をご確認ください。
千葉市
千葉市では、マンション管理センターの「管理計画認定手続支援サービス」を通じて申請する形が取られており、市への直接申請はできません。申請手数料はかからず、認定基準は国と同じで市独自の上乗せ基準はありません。
市川市
市川市は令和5年4月に市独自の「マンション管理適正化推進計画」を策定し、令和5年7月から認定の受付を開始しています。市への申請手数料は無料ですが、認定手続支援サービスの利用料や事前確認の審査料は別途かかり、審査には3週間程度を要するとされています。
船橋市
船橋市は令和5年4月3日から受付を開始しました。申請の前に、マンション管理センターの事前確認を受けて「事前確認適合証」の発行を受ける必要があり、この適合証がない場合、市は申請を受け付けられないとしています。
松戸市
認定制度の窓口が置かれています。市の案内では、築20年以上・10戸以上の認定マンションが2回目以降の長寿命化工事(屋根防水・床防水・外壁塗装)を完了した場合、翌年度の固定資産税(建物部分)が減額される点にも触れられています。
柏市
柏市では認定申請のほか、申請の取下げや、認定後の管理状況の報告についても様式が用意されています。また、千葉県マンション管理士会と共催で分譲マンションの管理組合向けセミナーを毎年開催し、マンション問題等相談会を年2回、マンションアドバイザー(マンション管理士)の派遣事業も実施しています。
浦安市
浦安市には「マンション管理計画認定申請支援事業」があり、マンション管理士が申請書類を確認したうえで、認定基準を満たすためのアドバイスを行っています。書類をメールで送る方法と、管理組合が指定する日時・場所にマンション管理士が訪問する方法があり、年度内1回まで利用できます。
申請前につまずきやすい点を専門家に見てもらえる仕組みで、こうした支援があるかどうかも市による違いのひとつです。
町・村にお住まいの場合
千葉県(県庁住宅課)が窓口になります。県では、マンション管理士が対応する相談窓口も設けられています。
上記以外の市の場合
千葉県内には37の市があり、すべての市が認定の受付をしているわけではありません。
ご自身の市が対象かどうかは、市役所の住宅担当課(住宅政策課・街づくり課など、名称は市によって異なります)に問い合わせる、もしくは国土交通省が公表している「マンション管理適正化推進計画作成状況一覧」で、自分の市が計画を作成しているかで確認することができます。
認定を受けるメリット。どんないいことがある?
主に次の4つです。
1. 住宅ローンの金利が優遇される
認定マンションは、住宅金融支援機構の「フラット35」や「マンション共用部分リフォーム融資」で金利の引き下げを受けられます。これは、そのマンションを買おうとする人にとってのメリットになります。
2. 修繕積立金の運用で有利になる
管理組合が「マンションすまい・る債」を購入する場合、10年満期時の年平均利率が0.05%上乗せされます。
3. 固定資産税が減額される場合がある(期限つき)
一定の条件を満たして2回目以降の大規模修繕(外壁塗装・床防水・屋根防水)を行った場合、翌年度の建物部分の固定資産税が減額される「マンション長寿命化促進税制」があります。これは期限のある特例で、これまでも延長を重ねてきた制度です。適用期間や条件は必ず最新の情報をご確認ください。
4. 市場で「管理が良いマンション」として評価される
認定されたマンションは、名称や所在地が専用の閲覧サイトで公表されます。売却や賃貸に出すときの説明材料になります。
建物そのものは古くなっていく一方ですが、管理の質は組合の努力で保てます。認定は、その努力を外から見えるようにする仕組みだといえます。
申請の前に、法律面で押さえておきたい3つのこと
制度の紹介はあちこちで見かけますが、実際に動き出すと管理組合の運営そのものに関わる論点が出てきます。
1. 認定の申請には、総会の決議が必要です
理事会だけで決めて申請することはできません。総会(臨時総会でも構いません)で「認定を申請する」ことを決議しておく必要があります。次の通常総会まで待つのか、臨時総会を開くのか、スケジュールから逆算して考えることになります。
2. 基準に届かない部分が見つかったとき、管理規約や長期修繕計画の見直しが必要になることがあります
よくあるのが、長期修繕計画の期間が足りない、修繕積立金の額が基準に届かない、といったケースです。積立金の値上げは区分所有者の負担に直結するため、丁寧な合意形成が欠かせません。「認定を取ること」が目的になって、住民の間に不信感が残ってしまっては本末転倒です。
3. 滞納への対応も見られます
修繕積立金の滞納に適切に対応しているか、という点も基準に含まれます。長く放置されている滞納がある場合、まずそこの整理から取りかかることになります。滞納者の相続が発生していたり、所有者と連絡が取れなくなっていたりすると、法的な手続きが必要になる場面もあります。
よくあるご質問
Q. 賃貸マンションでも認定を受けられますか。
オーナーが一人の賃貸マンションは対象外で、分譲マンション(区分所有されているマンション)が対象です。
Q. 認定を受けないと、何か不利益がありますか。
認定は義務ではありません。受けないこと自体に罰則などはありません。ただし今後、管理状態が資産価値の評価に影響していく流れは強まっていくと考えられます。
Q. 申請にはお金がかかりますか。
市への手数料は無料としている自治体もありますが、申請の前段階である「事前確認」の審査料や、オンラインシステムの利用料は別途かかります。市への手数料の有無は市によって異なるため、窓口でご確認ください。
Q. 認定を取ったあとは、何もしなくていいのですか。
有効期間は5年間で、更新の申請が必要です。認定を受けたあとの管理状況について報告を求める仕組みを設けている市もあります。
おわりに
管理計画認定制度は、「これまできちんと管理してきたこと」を形にできる制度です。一方で、申請の準備を進めるなかで、総会の運営、規約の内容、積立金の水準、滞納の処理といった、管理組合が抱えてきた課題が表に出てくることも少なくありません。
当事務所では、千葉県内のマンション管理に関するご相談をお受けしています。認定の申請そのものは管理組合の手続きですが、その過程で出てくる規約の見直しや滞納への対応など、法律が関わる部分についてお困りのことがありましたら、お気軽にご相談ください。
本記事は2026年7月時点の公表情報をもとに作成しています。制度の運用や各市の受付状況は変更されることがありますので、実際のお手続きの際は各自治体の最新の案内をご確認ください。

