【千葉県】マンション駐車場の空き問題。管理組合の悩みと、その対応策

「機械式駐車場の空きが増えて、管理組合の収支が赤字になりかけている」

「車を手放す住民が増えているのに、維持費は毎年かかる」

「外部に貸し出したいが、税金の問題があるらしい」

マンションの駐車場の空き問題は、今、全国の管理組合を悩ませているテーマです。そして、千葉県のマンションではこの問題がとくに深刻になりやすい事情があります。

千葉県は首都圏の中でも駐車場設置率が高い県です。不動産経済研究所の調査によると、千葉県の新築マンションの駐車場設置率は2011年から2015年までは70%台で推移しており、東京23区(30%前後)や埼玉県・神奈川県(50%台)と比べて突出して高い水準でした。つまり、千葉県のマンションは「車があることが前提」で作られてきたのです。

ところが今、住民の高齢化による車の手放し、若い世代の車離れ、カーシェアリングの普及などで、駐車場の空きが急速に増えています。

この記事では、千葉県のマンションで駐車場の空き問題が深刻化しやすい理由を整理したうえで、管理組合としてどう対応すべきかを具体的に解説します。

目次

1. なぜ千葉県のマンションで「駐車場の空き」が深刻なのか

理由① 駐車場設置率が高かったからこそ、「余り」が大きい

千葉県のマンションは、とくに郊外エリアでは駐車場設置率をセールスポイントにして分譲された物件が多数あります。

しかし、設置率が高かった分だけ、車の保有率が下がったときの「余り」も大きくなります。東京23区のマンションではそもそも駐車場が少ないので空き問題が起きにくいですが、千葉県のマンションでは「100戸のマンションに100台分の駐車場があるのに、40台分しか使われていない」といった事態が起こり得ます。

理由② 郊外団地型マンションの住民高齢化

千葉県の総武線・常磐線・新京成線沿線には、1970年代~80年代に建設された大規模マンションが多数あります。これらのマンションでは、入居当時の第一世代がそのまま高齢化し、免許返納や車の手放しが進んでいます。

一方で、子ども世代はすでに独立して東京都心に住んでいることが多く、結果として、駐車場を使う人は減り続けるのに、駐車場の維持費は減らないという構造が生まれます。

理由③ 機械式駐車場の「金食い虫」体質

機械式駐車場は、空きがあってもなくても、維持費はほとんど変わりません。定期点検費、電気代、部品交換費は使用率に関係なく発生します。さらに、機械式駐車場の耐用年数はおおむね25~30年。その時期が来れば、更新には1パレット(1台分のスペース)あたり150万~300万円程度の修繕費用が必要になります。

もし50台分の機械式駐車場を持つマンションであれば、7,500万~1億5,000万円という巨額の費用が将来待ち受けていることになります。

2. 千葉県のマンションで特に深刻なケース

千葉県内でも、地域によって状況は異なります。

船橋市・松戸市・柏市などの総武線・常磐線沿線の郊外マンションでは、駅からバス便の立地が多く、かつては車が生活の必需品でした。そのため駐車場設置率が高く、機械式駐車場を導入している物件も多いエリアです。住民の高齢化が進む中、「かつては満車だった駐車場が、今は半分以上空いている」という状況が現実に起きています。

一方、千葉市美浜区(海浜幕張)や浦安市などの湾岸エリアでは、比較的新しいマンションでも駐車場設置率が高めに設定されており、今後同様の問題が顕在化する可能性があります。また、湾岸部の機械式駐車場は潮風による塩害で劣化が速く、修繕費がかさみやすいという千葉ならではの事情もあります。

3. 管理組合が検討すべき5つの対応策

駐車場の空き問題に対して、管理組合が検討できる対応策を段階的に整理します。

対応策① まず現状を正確に把握する(アンケート調査)

最初にすべきことは、住民へのアンケートです。「現在車を持っているか」「今後車を手放す予定があるか」「マンション外の駐車場を借りていないか」「機械式駐車場に入らない大型車(SUVやミニバン)に乗り換えたか」などを調査します。

空きの原因によって対策は異なります。「料金が高いから外部の駐車場を借りている」のであれば使用料の見直しで対応できますが、「そもそも車を持つ人が減っている」のであれば、より抜本的な対策が必要です。

対応策② 駐車場使用料の見直し

近隣の月極駐車場の相場と比較して、マンションの駐車場使用料が割高であれば、値下げによって利用率が改善する可能性があります。また、規約で「1住戸1台まで」としている場合に、複数台の契約を認めることで空きを埋める方法もあります。

ただし、値下げをする場合は、全体の収支バランスを必ず試算しましょう。値下げにより利用者が増えても、結果として総収入が下がっては意味がありません。

対応策③ 機械式駐車場の撤去・平面化

空きが慢性的に続く場合、機械式駐車場を撤去して平面駐車場に変更する「平面化工事」が有力な選択肢です。機械式を平面にすれば、毎月の維持費が大幅に削減され、SUVやミニバンなどの大型車も停められるようになります。また、EV(電気自動車)の充電設備を設置しやすいというメリットもあります。

ただし、撤去工事にも費用がかかります。1パレットあたり数十万円~100万円程度が目安です。それでも、機械式をそのまま更新する費用(150万~300万円/パレット)と比べれば、長期的には大幅なコスト削減になるケースが多いです。

対応策④ 外部への貸し出し(サブリース)

空いた駐車場をマンション外の方に貸し出すという方法もあります。近年は、管理組合から駐車場を一括で借り上げ、近隣住民に貸し出す「サブリース会社」のサービスも登場しています。

ただし、外部への貸し出しには重要な注意点があります。マンションの駐車場を居住者以外に貸し出した場合、その収入は「収益事業」とみなされ、管理組合に法人税が課税されます。住民専用の駐車場であれば非課税ですが、外部に開放した瞬間に税務上の取り扱いが変わるという点は、見落としがちです。納税申告の手続きも必要になるため、税理士への相談が不可欠です。

また、管理規約上、駐車場の利用を居住者に限定している場合は、規約の改定が必要です。これには総会での決議が必要になります。

対応策⑤ 駐車場会計の独立

駐車場使用料を管理費会計に組み入れているマンションでは、駐車場会計を独立させることを検討しましょう。駐車場の収入と支出を分けて管理することで、「駐車場にいくらかかっているのか」が明確になり、使用料の改定や撤去の判断がしやすくなります。また、駐車場を使っていない住民からの不満も出にくくなります。

4. 駐車場の撤去・平面化に必要な法的手続き

駐車場の対応策の中でも、機械式駐車場の撤去・平面化は、法的な手続きが伴います。

総会での決議が必要

マンションの駐車場は「共用部分」です。機械式駐車場を撤去して平面化することは、共用部分の形状や効用を大きく変更する行為にあたるため、原則として総会での特別決議(出席区分所有者および出席議決権の各4分の3以上の賛成)が必要と考えられています。

合意形成の難しさ

実務上、最も難しいのが住民間の合意形成です。駐車場を現在使っている住民は「今のまま維持してほしい」と考えますが、使っていない住民は「無駄な費用を削減してほしい」と考えます。

効果的な進め方としては、「機械式をそのまま更新した場合」「撤去して平面化した場合」「何もせず放置した場合」の3パターンで、20年・30年先までの収支シミュレーションを作成し、数字で示すことが有効です。感情的な議論ではなく、客観的なデータに基づいて判断することが大切です。

駐車場附置義務の確認

多くの自治体では、条例によりマンションの規模に応じた駐車場の設置が義務づけられています。機械式駐車場を撤去して台数を減らす場合、この附置義務に抵触しないかを確認する必要があります。千葉県内でも市町村によって基準が異なるため、事前に確認が必要です。

5. 「弁護士に相談すべきか」の判断基準

駐車場の空き問題の多くは、管理会社やマンション管理士との連携で対応できます。使用料の見直しやアンケートの実施は、理事会と管理会社で対応可能です。

一方で、以下のような状況に当てはまる場合は、法的な判断が必要な場面です。

□ 機械式駐車場の撤去・平面化を検討しており、総会の決議要件の確認が必要

□ 外部への駐車場貸し出しを検討しており、税務上の取り扱いや規約改定の手続きが不明

□ 駐車場使用料の値上げに対して住民から反対があり、合意形成が難航している

□ 駐車場の空きに起因する収支悪化で、管理費や修繕積立金の値上げが必要になっている

□ 駐車場の利用者と非利用者の間で、費用負担をめぐるトラブルが起きている

□ 駐車場附置義務との関係で、撤去可能かどうかの確認が必要

大切なのは、問題を先送りにしないことです。駐車場の空きは、放置すればするほど財政への影響が累積し、将来の大規模修繕に支障が出る可能性があります。「いずれ対応しないといけない」とわかっているのであれば、早めに動き始めることが、選択肢を広く保つことにつながります。

当事務所では、千葉県内をはじめ全国のマンション管理組合からのご相談に広く対応しております。規約改定、総会決議の進め方、外部貸し出しの法的整理など、お気軽にご相談ください。

よくあるご質問

Q. 駐車場使用料の値上げには総会の決議が必要ですか?

A. 駐車場使用料の変更は、管理規約や使用細則の定めによりますが、多くのマンションでは総会での普通決議(出席者の過半数の賛成)が必要です。規約自体の改定が必要な場合は、特別決議(出席区分所有者および出席議決権の各4分の3以上の賛成)が必要になります。まず自分のマンションの規約でどう定められているかを確認しましょう。

Q. 機械式駐車場の撤去は普通決議でできますか?

A. 機械式駐車場の撤去は、共用部分の形状または効用の著しい変更にあたるため、原則として特別決議が必要と考えられています。ただし、管理規約に別の定めがある場合はそちらが優先されますので、規約の内容を確認してください。

Q. 空いた駐車場を外部に貸し出したら税金はかかりますか?

A. はい、マンションの居住者以外に駐車場を貸し出した場合、その収入は収益事業とみなされ、管理組合に法人税が課税されます。納税申告の手続きも必要になるため、外部貸し出しを検討する際は税理士への相談をおすすめします。サブリース会社を利用することで、理事会の事務負担を軽減することも可能です。

まとめ

千葉県のマンションは、駐車場設置率が高かったがゆえに、住民の高齢化や車離れが進む中で、駐車場の「空き」問題が深刻化しやすい地域です。とくに機械式駐車場は、空きがあっても維持費がかかり続ける「金食い虫」であり、管理組合の財政を圧迫します。

対応策としては、使用料の見直し、機械式の撤去・平面化、外部への貸し出し、会計の独立などがありますが、いずれも法的な手続きや住民間の合意形成が必要です。まずはアンケートで現状を把握し、複数のシナリオで収支シミュレーションを行い、数字に基づいて判断することが大切です。

この記事を書いた人

千葉県の市川市の法律事務所 羅針盤の弁護士。「お客様の根本問題を解決する」がモットー。複雑な法律の知識についてわかりやすく解説します。

目次